ヒル谷試験流域にて土砂生産、土石流観測を行っている。ヒル谷は土砂流出のほとんど無い本川と土砂生産源である支川に分岐している。また、観測は土砂生産源である支川の源頭部、本川と支川の合流部である中流、試験堰堤のある下流の3ヶ所で集中的に行っている。
ヒル谷源頭部では、カメラモニタリングを行い、土砂生産や土砂移動を長期に観測している。また、土砂移動発生時の水分動態をとらえる為の観測も継続的に実施している。
ヒル谷中流では、本川と支川の合流部にて水位、濁度観測を行っている。本川、支川共に合流点から約200m上流に雨量計を設置し雨量観測を行っている。また、源頭部と同じようにカメラモニタリングも実施している。
ヒル谷下流には試験堰堤があり、水位、濁度、電気伝導度、雨量を観測し、上流から流れてきた土砂の堆砂量の測量も行っている。また、近年土砂の排砂手法の開発や改善に向けた排砂実験も行っている。
足洗谷観測水路では、流砂量の間接的な計測手法である音響センサーを利用したパイプ式ハイドロフォン、プレート式ハイドロフォン、スイスにて開発されてきたプレート式ジオフォンを設置し、掃流砂観測における観測結果の比較検討を行っている。また、従来設置している水平型ハイドロフォンに加え、鉛直型のハイドロフォンを設置し、新たな計測手法について検討を進めている。
足洗谷流域とは、足洗谷本川とヒル谷、割谷、黒谷、白水谷の4つの支川からなる流域である。足洗谷にある観測水路の他に、各支川それぞれにパイプ式ハイドロフォンと水位計を設置し、流砂観測を行っている。また、携帯式電気伝導度計を使用したトレーサー法による流量観測も随時行っている。
信濃川水系梓川流域に位置する焼岳 上々堀沢にて流速計、流動深計、挙動監視カメラを使用した土石流観測を行っている。また、ヒーター内臓雨量計を設置し1年通して雨量観測している。
降雨観測は、転倒ます型雨量計を使用して行っている。
ヒル谷に設置している3つの雨量計の他に、観測所屋上、観測所敷地内、神通川水系高原川支流蒲田川にある道観松砂防堰堤に設置している。また、立命館大学と共同で白水谷(上流、中流、下流)、中尾温泉内などに雨量計を設置し観測を行っている。
転倒ます型雨量計とは、口径20cmの「受水器」に入った降水(雨や雪など)を「濾水器(ろすいき)」で受け、転倒ますに注ぎます。転倒ますは2つの「ます」がシーソーのような 構造になっており、降水量0.5mmに相当する雨水が「ます」に貯まると反対方向に転倒して水を下に排出します。その転倒数を計測することによって「降水量」を知ることができます。
出典:気象庁ホームページ 雨量計/観測の原理